禁じられたグリスブリザードへの変身…
心火(しんか)を燃やして…燃やし尽くして、壮絶に散っていったグリス。
今回は、2018年8月12日放送分。武田航平さん演じる仮面ライダーグリス/猿渡一海(カズミン)の最後の戦いを描いた、第47話「ゼロ度の炎」の感想です。
(もはやハロプロとは何にも繋がりのない記事ですが、他に想いをぶつける場所もないので、ここに書いていますが…寛容の心で見ていただければと思います)
第47話 「ゼロ度の炎」ダイジェスト
ラストバトルへ挑むべくパンドラタワーを駆け上がるビルド達。
その前に立ちはだかったのは、かつてカズミンを頭(カシラ)と呼び慕っていた三羽ガラス達。…に擬態した3体のロストスマッシュ。
「ここは引き受けた」とビルド達を先に行かせて三羽ガラスと対峙するカズミンでしたが…姿形だけでなく、記憶をちらつかせた事で攻撃にためらいが出来てしまい一転して窮地に立たされます。
実は、この戦いに向かう前に、戦兎から「ブリザードナックル」という新アイテムを渡されていたんですが…
「変身すれば命を落とす。だから、これは武器として使ってくれ。」…と。
しかし、武器として使用するだけではこの戦いには勝てない事を悟り、最後の手段…「変身」する事を選びます。
全て覚悟の上で、猿渡一海にとって最後の変身…
「Are you ready?」
変身の時に必ず発せられるボイス…準備できてる?といった意味ですが、それに対して「できてるよ。」とひと言。
変身ベルトのボイスはいつも通りだけど、何度となく行ってきた通常変身とは異なり、今回は自らの命を代償とする変身…
だからこそ、この「できてるよ。」っていうひと言には、カズミンの覚悟とか、色々な想いが込められた重い言葉。
それをさらりと言えるのが猿渡一海という男のカッコよさであり、色気であり、お頭として慕われる所以なのでしょう。
変身したグリスブリザードの姿。
「心火を燃やして ぶっ潰す!」といういつもの決め台詞。
心火を燃やして燃やして燃やし尽くした先の究極フォームが何故かブリザードという…相反する姿なのがなんだか不思議だなって思ってしまうんですが…
三羽ガラスに対して攻勢を強めるグリスブリザードでしたが…やはり究極フォームは諸刃の剣。刻一刻とタイムリミットが迫ってきます。
そんなカズミンを心配して、戦いをやめるよう懸命に説得する推しのみーたん。
推しからの心配は、自分にとって最高のエールだと言わんばかりのカズミン。最後の大舞台だからこそ全力でカッコつけなければと、ますます心火を燃やします。
…が、残された最後の炎も残り僅かに。
「そろそろ潮時みてえだな」と悟るカズミン。
その脳裏に浮かんできたのは、共に戦ってきた仲間たちの顔…
生まれ故郷でもある北都の農場は壊滅し、残された従業員でもあった三羽ガラスを失い、もはや失うものは何もない…
初登場時のカズミンはそんな空虚さを抱えていたようにも見えましたが、幾度の戦いを経て得たかけがえのない仲間たちの顔…。
いつしかカズミンの心は充たされ…だからこそたくさん残してしまった「未練」。だからこそ発せられた仲間たちへの「ありがとうな。」という言葉…
ラブ&ピース胸に生きていける世界を…3バカとともに祈ってるぞ。と言い残し…
最期の、そして渾身のライダーキックにより、全ての三羽ガラスを撃破!!!!
心火を燃やした末…遂に最期の時を迎えるグリス…
最後の最後まで「グリス」呼び…
名前を呼んでくれない事を残念がるカズミンに対して、名前を呼んだら本当にいなくなってしまう気がしたから…だからこそ名前を呼べなかったと語るみーたん。
推しのツンデレとか…最期の瞬間まで最高じゃないですか?
そして、カズミンの背中に抱きつき、生きてほしいと懇願するみーたん。
そんなみーたんに対して、最期までファンとしての立場を貫いたカズミン。推しに看取ってもらえるなんて幸せもんだな、あいつらに自慢してやんねえとな…
最期にそう言い残して…散っていきました…
カズミン…
美空は初めて名前を呼びました。しかし、そこにカズミンの姿はありません。
俳優 武田航平
仮面ライダーグリス/猿渡一海を演じた武田航平さん。
なんとなくだけど、彼が仮面ライダービルドにキャスティングされるとわかった瞬間から、熱いラストシーンを想像は出来ていました。
というのも、武田航平さんが仮面ライダーシリーズにレギュラーとして登場するのは仮面ライダーキバ以来2度目。
その時は同時進行する未来と過去の時間軸の中で、瀬戸康史さん演じるキバの父親でもある紅音也を好演しており、そのラストシーンもめちゃめちゃカッコよかったっていう印象が今なお強く残っているから…
今回の仮面ライダービルドにおいてもきっと主役を喰うぐらいの見せ場を作ってくれると期待していたら…本当にそうなってしまったって感じ。
悔しいけど武田航平さんには2度泣かされる事となりました。
思えばこの時も、息子を助ける為とはいえ…
ファンガイアの血の力を持たない人間が使えば命を落とすという禁忌の力、ダークキバへの変身をしてしまったからで…
作品こそ違えど、命を落とした原因は一緒なんですね…
感想
今回は同軸で仮面ライダーローグの戦いも描かれており、その中で、敵幹部だった内海の真意がわかり、こちらも最期の瞬間を迎えるわけですが…
やっぱりカズミンの最期の戦いのインパクトが強すぎました。
これだけカッコいいのにアイドルオタクの一面を持っており、北都の仮面ライダーとして敵方として登場した頃と比べると、味方になった時の落差が激しかったカズミンでしたが…
そのキャラクターには一本筋が通っていて、そこは最後までブレる事がなかった。
その辺が武田航平さんの役作りの凄さであり、彼の色気…みたいなものに繋がるんだろうなぁっていう気がします。
結局、カズミンはみーたんに名前を呼んでもらう事なく旅立っていきましたが、ただ呼ばないんじゃなくて、あえて呼んであげないんだっていう…逆に特別な関係性を示したことで、男として、オタクとして、十分満足できたんじゃないかと推測します。
そして、いなくなって初めて呼んだカズミンの名前…
カズミンの前では「アイドルとオタク」という関係性を最後の最後まで貫き通しましたが、ひとりの石動美空として猿渡一海の事を仲間としてちゃんと認めていたからこそ、あそこでちゃんと名前を呼んだんだと思います。
今回あえて書きませんでしたが、このシーンと、カズミンの最期を知って慟哭する仲間たちのシーン。あえて音を流さずに表情だけでその悲しみを伝え…その空気を壊す軽薄なエボルトの声…
この辺の演出は鳥肌ものでした。
いつかはこの時を迎える…
それは最初からなんとなく想像していましたが、こっちの想像をはるかに超える感動をいっぱいもらった気がします。
歴代シリーズの中でも久々の名作となった「仮面ライダービルド」ですが、その中にカズミンという素敵なキャラクターがいた事、そしてカッコよくもはかなく…そしてたくさんの人から惜しまれながら散っていった事。
名作の中の名シーンとして、ずっと忘れません!!
ありがとうカズミン
ありがとうグリス
そして、ありがとう武田航平さん!!